集英社スーパーダッシュ文庫 200903

HELLSING の最終巻を読みました。何だか感無量です。少年アーカードの活躍ももう少し見てみたかったなあ。
 聖☆おにいさんの最新刊も購読。爆笑必至。イエスさん方面のギャグはもうヤバイ気がします。

それでは、本日の戦果。

いろいろ 200902

あー、家でじっとしてると末端から冷えていきます。マッサージ機でも買うかー……って、残業無くなって厳しいのに近頃買ってばっかりですな。

 

それでは、本日の戦果。

受肉刑 草稿其の二十六

妹の御蔭ですっかりやられ役が板に付いてしまった感のある俺だが、これでもこのコロニーの気相を司る管理者であることは間違い無い。不安定になりがちな小規模コロニーの気象をバッファリングしているのは、俺の分子機械《ニーベルング》なのだ。

  まあ、名誉回復は後でするとして閑話休題。

  煉羊羹を頬張る。それが口の中に残っている内に砂糖塗れの揚げパンを手に取る。パンを咀嚼中に喉が詰まりそうになったので、砂糖を十杯入れたカフェオレで流し込む。次はチョコレートパフェだ。

  クエン酸地獄から這々の態で生還した俺は、今度は甘味の蟻地獄に陥っていた。

「スクロースは白色の天使だな」

  板チョコを手に恍惚とした表情で一人ごちる。

「何、気色悪い事口走ってるのよ」

  そう突っ込むテテュスもバウムクーヘンを口一杯に頬張っている。妹よ、リスの様な食べ方をしていると、折角の美少女面が台無しだぞ。

「しかし、生体と言うものは不自由で燃費が悪いな」

  取り敢えず話題を切り替えてみる。テテュスは生物学の専門家だから乗ってくるだろう。

「まあ、システム全体が一定のエネルギーフローを前提にしてるから。そもそも、進化=物理的最適化じゃないからねえ。孫コピーの数が最大であればそれで良い感じだし。『遊び』を残しておかないと環境の変化に対応出来ないし」

  そう話す合間にも甘味の山に果敢に突撃している。しかしこの山、二人掛かりで崩そうとしてるのに中々減らない……って、姉貴がガンガン追加してる!

「まだまだありますよ~」

  見りゃ分かるよ!今日は本当にフードプロセッサーがフル回転だな。っていうか、

「流石にこの量は生理的に無理だから!」

  我に帰ったテテュスからドクターストップが掛かりました。確かに、この量の糖分を消化したら体液組成が凄い事になるかも知れない。冷蔵にコストが掛かるから、食べ切れなかった分は分子機械で土と水と空気に戻すしかないな。

 

  胃袋と食欲を十二分に満たした俺は、また出掛ける事にした。これで三時間はもつ筈だ。念の為に、飴とキャラメルを持って行こう。現時刻は正午。夕刻迄には到着出来るだろう。目的地は地形変化が激し過ぎるので、生身で飛んで行くのは難しい。

「アイオロス」

  俺が玄関のドアノブに手を伸ばした所で、声が掛かった。

「……親父。何?」

「死ぬなよ」

「唐突に物騒な伏線を張るなよ!」

  どうも、我が家族は心配の表現がおかしい。

 

   一時間後。

「よっ……と」

  変な掛け声が出る。 漸く視点と重心のブレが収まって来た。代わりに速度が上がらず、少々不審な動きになってしまう。非線形システムの制御は永遠の課題だな。

 

  出立して二時間。問題の、険しい地形に差し掛かる。設計した本人だが、この道のりは人間には厳し過ぎるだろう。ただでさえ剣山の如く険しい上に、遠近感を狂わせる視覚的トラップを施した。更にぐねぐねと小腸の様に曲がりくねった小径には、景色が全く同じように見えるポイントを無数に用意してある。迷ったが最後、引き戻すか無意識に外に誘導されるしかない。ほぼランダムな時間と座標で地形を変化させているため、部外者が地図を作成するのも不可能に近い。

  そうまでして隔離せねばならない存在がこの先にいる。

  巨大な障害物そのものの荒地を抜けるのに二時間を必要とした。持ち歩いていた甘味も底をついた。開けた場所に出る。目的地である其処にはパステル調の一軒家が建っている。……それはそれでいいのだが、俺以外訪ねて来ない筈のその家の周りに人集りが出来ていた。シュプレヒコールみたいなものまで聞こえる。

「どうか我々に御助力を!」「共に、貴女をこんな所に幽閉した奴等を打倒しましょう!」五月蝿いな。俺達だって好きで隔離してる訳じゃない。

  近付いてみると、人集りの中心にはスケッチブックを掲げた女性が困った様子で立ち尽くしている。器用な事に、紙も見ずに書いては捲りを繰り返している。「圧さないで」とか「お引き取り下さい」等と読めるが、効果は全く無いようだ。やがて諦めたのかスケッチブックを下ろして溜息を吐いた。そして小さく口を開けると、

「お静かに」

  小さくもよく通る声だった。その一言で、騒ぎが完全に収まってしまった。

  気まずい静寂の中、神経質そうな数人の男女が俺の存在に気付いた。

「EXoD02だ‼」

  そう叫ぶと、群集は蜘蛛の子を散らすように女性から離れ、俺を大きく迂回して去って行った。その名称は生身じゃなくて機械の方の身体だ、愚か者。……まあ、咄嗟には見分けがつかないか。

  去り際に、幾人かが懐から地図(を映した電子ペーパー)を取り出していたのを俺は見逃さなかった。此処に辿り着けたのは、あれがあったからか。あんなものを作成出来るのは、伯父のカールしかいないだろう。姉貴が騙されてほいほい教えたのでなければ。今度は地形造成プログラムのアルゴリズム自体に揺らぎを付与しよう。

  ともあれ、此処に残ったのは俺とスケッチブックの女性の二人のみ。

『あらあら』

  わざわざ感動詞を筆記して見せる意図がよく分からない。彼女は俺が読唇出来る事を思い出したのか、掲げていたスケッチブックを下ろしてこちらに駆け寄って来た。相変わらず唇の動きがあらあら言っている。何をそんなに感嘆しているのだろうか。

  彼女は手の届く範囲にまで俺に近付くと、俺の身体をぺたぺた触り始めた。ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた……。

「止めんかっ」

『あんっ』

  不機嫌そうに振り払うと、彼女は芝居がかった仕草で抗議してきた。

「何なんだ一体」

『だってその身体……生身ですよね?』

  一瞥で看破するとは目ざといな。

「よく気付いたな」

『鋼鉄の身体とは、重量感が違いますから』

  そう云うものか。

『まあ兎も角』

  こほん、と小さく咳払いをして彼女は居住まいを正す。

『どうぞお入り下さい。育ち盛りの身体だから、お腹が空いてらっしゃるでしょう。腕によりを掛けておもてなし致します』

「有り難い。実は、腹が減って倒れそうだったんだ」

 

『今日は、その姿を私に見せに来て下さったんですか?』

  俺は月に一度、定期的に此処を訪れている。もっと手軽に彼女をモニタリングする方法はあるが、覗きは俺の趣味ではない。俺が周期から外れた時期に来たので、彼女は疑問を抱いたのだろう。

「そんなところだ」

『一昨日は酷い嵐でしたけれども、そのお身体になられた事と関係が?』

「嫌になる程鋭いな」

権限委譲 草稿其の一

夜も更けて人気の失せた広い公園に佇む、どこか病的な雰囲気の少女。その瘦身に纏ったシックなドレスはあちらこちらが裂けており、血が滲んでいる。手には淡く不自然に光る日本刀が握られている。その刃は分厚く、研がれている様子は無い。不可思議ななまくら刀の刀身を鍔元まで地面に刺し込む。柄を握ったまま、告げる。

「解放する」

  瞬間、地面から光が漏れ、激しく揺れ出した。そして、槌打つ音が響き渡る。

  それは余りにも速く激しく、最早連続した音としてしか聞こえない。鋼を打ち延ばし、折り重ねて鍛える音。

  耳を聾する程の大音響と、立っていられない位の揺れ。深更とはいえ近隣住民が騒ぎ出さないのが不思議だ。

  やがて地面から大量の蒸気が吹き上がり、即席のたたら場に静寂が戻る。刀が打ち上がったのだろう。握ったままの柄を地面から引き抜く。果たして。

  そこに現れたのは妖しく輝く業物。以前の姿も光を帯びてはいたが木炭のようななまくら刀であり、現状とは似ても似つかない。

  無造作に振る。風を切る音まで高く、鋭い。

「さて、最後の殺し合いを始めましょうか」

  そう話し掛けられた相手は、そんな声も聞こえなかったかのように話し手を威嚇したままだ。最早言葉も理解していないのかも知れない。低く半身に構えている。長く伸びた髪と爪は、触れるものを悉く切り裂く。周囲に火の玉を幾つも従え、瞳も爛々と輝かせたその姿。火の玉の熱か、周囲の空気が歪んでいるように見える。やや黒ずみつつも滑らかなる肌は、通常の拳銃やナイフ程度では傷もつかない。筋肉が人間のとは違うものに変質してしまったのだろう、極限まで絞られたその身体は単純な腕力も人類の限界を超えている。

  そんな「人間以上」を相手取りながらも、小柄な少女は不敵に——否、本当に嬉しそうに微笑んで言う。

「貴女の力を見せなさい、奥菜朱鷺乃(オキナ トキノ)——『時の翁《死神》』!」

 

「——と云うクライマックスはどうだろう、朱鷺乃?」

  発言したのは平凡を絵に描いたような少年だ。年の頃は十七位か。

「何がっ?!意味不明にも程があるんだけど!」

  激しく突っ込んだのは朱鷺乃と呼ばれた快活そうな同年代の少女だ。長く伸ばした髪の色素がやや薄いのが特徴か。

「ふむ。その構図だと私が不可思議な力を使うモンスターハンターでトキノが天災級の怪物ですか義兄さん。面白いですね」

  微笑みつつ物騒なことを言い出したのは、どこか病的な雰囲気のある小柄な少女。先の二人より少し幼い。

「あたしは面白くない!っていうかいい加減、呼び捨ては止めてよ亜希乃、あたしの方が歳上なんだから」

「帰国子女なもので」

「そんな設定無かったよね⁈……っていうか、さっきの妄想だと、ユメト自身はどういう位置付けなのさ?」

「確か、直前に亜希乃に斬り殺されてたな」

「益々物語が破綻してしまいましたね」

「元々、夢なんて脈絡が無いものだからなー」

「夢だったの⁈」

「それでは、序章はここ迄。次回は第一幕『嵐を呼ぶ義妹』。乞うご期待」

「どこ向いて話してるのよ、ねえ!声色がキャラと全然違うし!」

「迫り来る義妹の猛攻に、キミは耐えられるか!」

「亜希乃まで⁈あたしだけ仲間はずれ?何なのよもう‼」

受肉刑 草稿25

ずっと床に倒れ伏して悶絶してはいたが別に意識ははっきりしていたので、親父と妹の命懸けのどつきあいは一部始終見ていた。

  はっきりいって双方とも人類の限界をあっさり無視していた。親父の急加速・急減速は機械のように精確だったし、妹は内臓破裂してるのにフローリングを砕く勢いで蹴りを放っていた。もっと痛覚を大事にしろと言いたい。

  親父の動きは、妹には瞬間移動のように見えたのだろう。網膜の情報は、眼球運動の或る位相においては脳に送られない。親父は妹の眼の動きからその位相を読み取り、タイミングを合わせて仕掛けたのだろう。

受肉刑 草稿24

結局、パパから受けた傷は、完治まで三時間も掛かった。自動蘇生機能を搭載したパパがバラバラの肉片から再生するのに同じ位。あの技、本当に「必殺技」だった訳だ。

  ところで、カール伯父さんのアジトはレアお姉ちゃんに頼んで徹底的に解体して貰った。如何に強力なジャミングを施そうと、ワイヤードの分子機械には無効だ。今頃、頭を抱えているに違いない。ザマアミロ。

受肉刑 草稿23

「パパ、さっきの動きは何?」

  声と共に血泡が零れるが、それどころじゃない。

「人間の視覚系のセキュリティーホールだ。武術の達人やニンジャはこの穴を利用していたと私は考えている。お前の様に喧嘩慣れした人間が結構引っかかる。——そんな事よりも、もう少し安静にしていろ。治癒が追い付かなくなる」

「レアお姉ちゃんに護身用の近接格闘プログラムを組み込んだって言ってたよね。もしかして」

「ああ、さっきの達人技も入っている」

  と云う事は、今のあたしは、あのトロい姉に近接格闘で劣る!っていうか。

「あの技は絶対に『護身用』の範疇に収まらないと思うんだけど!」

受肉刑 草稿22

身体の制御を取り戻した後に真っ先にしたのは、水道の蛇口に取り付いて水で口を濯ぐ事だった。もうクエン酸も酢酸も嫌だ。漱いでも漱いでも酸味の嫌な感じが抜けない。分子機械で味蕾をスキャンしてみても、酸は何処にも見当たらない。と云う事は、これは機械-人インターフェイスの仕業か!因みに、お兄ちゃんは未だに倒れたままだ。あたしは振り向いてパパを睨みつけて糾弾する。

「ちょっと!この機械-人インターフェイスはどうなってるのよ!いくらなんでも不具合が多過ぎるんだけど!」

  その言葉にパパは眉をひそめて、

「お前は何を言っているのか」

と言い放つ。

「私は言った筈だ。『これは罰だ』と」

「え、あれ?『電脳に生身の身体』ってコンセプトで経過観察したかっただけじゃないの?」

「それもある。然し、第一義は刑罰だ」

「意外と真面目に考えてたんだ」

「意外とは失礼な。それに、お前とアイオロスは身体の使い方が雑だ。鋼の身体のパワーと頑丈さにまかせて効率の悪い動きをしている」

  少し癪に障った。一応、あたしは生物体管理の専門家なのだ。

「パパにはお灸をすえる必要があるみたいねえ……」

  そう言ってパパに詰め寄る。投げ技を綺麗に極めて、発言を撤回させてやろうと思ったのだ。

  が。

  突然、パパが二人に分身したかと思ったら、姿が掻き消えたのだ。受肉する前には絶対に無かった錯覚。

「な……!」

  咄嗟に身を引くが、いつの間にか胸骨にパパの掌底が——。

  衝撃。

  全身の骨が揺さぶられる。強制的に呼気を全て吐き出させられた後に、鮮やかな血が破壊された肺胞の塊と共に口から溢れ出す。胸郭を共振させて内臓を破壊したのだろう。即座に分子機械による修復が始まるが、これは完治に時間がかかりそうだ。

  くずおれる身体を叱咤して渾身の蹴りを放つが、空振りに終わる。視界内にパパがいない。

  背後から白衣の腕があたしの首に回されて圧迫する。両側頸部神経叢の信号を受け取り、心筋が瞬間的に停止する。それを感知した機械-人インターフェイスがあたしの本体たる量子電脳に強制停止命令を——。

  あたしが外的要因で意識を失うのはこれが初めてだった。

 

  起動シークエンス開始。動作クロック周波数を最大限に。異常終了したため、全メモリーのエラーチェック実行……異常なし。これよりインスタンス集合体『意識』を生成。予測演算機関始動。デバイスをチェック。身体イメージ地図を作成。センサーデータを確認。クロック周波数を漸減。意識レベルを段階的に上昇……覚醒。

  跳ね起きる。心臓の上辺りに違和感があるのは蘇生法を施したからか。ソファに寝かされていた。

「目醒めたか」

受肉刑 草稿21

爽やかな柑橘の風味を感じながら、あたしもスプーンを口にする。

  時間が止まった。否、生身の部分が制御を受け付けなくなったのだ。本体たる量子電脳は正常な時間を刻んでいる。生身の部分は、強過ぎる刺激に行動不能になってしまっている。まさか、こんな事で本日最大の衝撃を(文字通り)味わう事になろうとは。視界の片隅では、お兄ちゃんも静止したまま微かに痙攣している。兄妹仲良く固まっているところに、思い出したかの様にパパが登場した。

「そう言えば我が子らよ、恐らくその身体は酸味に過敏……って、遅かったか」

「……!」

  どういうことよと文句を言いたいが、声帯も満足に動かせない。

「私が酸味の強いものを食べているのを見た事があるか?」

  ……まさか。

「お前等のその身体は、私のゲノムが元になっているからな」

「お父さんたら、好き嫌いが激しいんだから~~」

  何時の間にか其処に居たレアお姉ちゃんが相槌を打つ。

「好き嫌いと云うよりは、『衝撃』なんだよな」

受肉刑 草稿20

リビングに入ると、レアお姉ちゃんが甘ったるそうなお菓子を山程用意してくれていた。ミルフィーユ、モンブラン、カスタードプディング、アイスクリーム、果てはみたらし団子まで在る。後は緯度も旬も無視した多様な果物も。我が家の分子合成機械をフル回転させてるんじゃないだろうか。
「お帰りなさい。カール伯父さんは元気だった?」
  怪我をして(直ぐに治したけど)帰って来た妹への第一声がそれですかお姉様。
「あたしの心配は?」
「え?だってお父さんが『あいつなら大丈夫だ。お前は心配しなくてもいい』って」
  貴女は人を信じ過ぎです。パパも過保護だ。いくらお姉ちゃんが中世欧州の御婦人並みに気が弱いからって。
  まあいい、話題を切り替えよう。
「それよりも、この大量の甘味は一体何?」
「お父さんが『糖分が足りなくなってから帰って来るだろうから』って。本格的なお菓子作りが出来て嬉しいわ」
「何?素材は兎も角、お姉ちゃんが全部作ったっての?」
「ええ、腕によりを掛けました。召し上がれ」
   素直に感心した。初めて台所に立った時には、包丁を指に接触させて仕舞ったショックで世界を壊しかけたくらいなのに。成長したものだ。
「じゃ、遠慮なく」
   ソファに座って、手近のクッキーを手に取る。そう言えばこの身体、好き嫌いはどうなんだろうか?機械の身体だった頃は何でも食べられた。生身になってから食べた朝食は特に問題無く美味しかった。お菓子も大丈夫だろう。余り悩む事も無く口にクッキーを放り込んで咀嚼する。
   のろまなお兄ちゃんが家に辿り着いたのは、あたしが焼き菓子に飽きて果物に転向しようと思いかけたところだった。
「ただいま」
   疲労困憊した声だった。グレープフルーツを半分に分割しながら、声をかけた。
「お帰んなさい。低血糖アラートがガンガン鳴ってるでしょ。食べる?」
   お兄ちゃんはあたしを恨みがましく睨みつけて。
「……お前は生身に慣れてない俺にあわせようとは思わなかったのか」
「あたしがお兄ちゃん相手にそんな事する訳ないでしょ。はいどうぞ」
   有無を言わせず、スプーンとグレープフルーツ半分を押し付ける。
「そういう奴だったな、お前は……」
   嘆きながらもお兄ちゃんは果肉を掬って口に運ぶ。