受肉刑 草稿21

爽やかな柑橘の風味を感じながら、あたしもスプーンを口にする。

  時間が止まった。否、生身の部分が制御を受け付けなくなったのだ。本体たる量子電脳は正常な時間を刻んでいる。生身の部分は、強過ぎる刺激に行動不能になってしまっている。まさか、こんな事で本日最大の衝撃を(文字通り)味わう事になろうとは。視界の片隅では、お兄ちゃんも静止したまま微かに痙攣している。兄妹仲良く固まっているところに、思い出したかの様にパパが登場した。

「そう言えば我が子らよ、恐らくその身体は酸味に過敏……って、遅かったか」

「……!」

  どういうことよと文句を言いたいが、声帯も満足に動かせない。

「私が酸味の強いものを食べているのを見た事があるか?」

  ……まさか。

「お前等のその身体は、私のゲノムが元になっているからな」

「お父さんたら、好き嫌いが激しいんだから~~」

  何時の間にか其処に居たレアお姉ちゃんが相槌を打つ。

「好き嫌いと云うよりは、『衝撃』なんだよな」

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