受肉刑 草稿19

グルコース残量を気にしながらやっと辿り着いた我が家の門前では、パパが待ち構えていた。本当に心配症なんだから。

「無事だったか?」

「ただいま戻りました。御陰様で、些細な出血以外は恙無く」

「……何故によそよそしい口調なんだ?」

「そんなこと御座いませんわ。それにしても……この様な身体にして下さってありがとうございます」

「……皮肉だったのか」

 やっと通じた。鈍いパパだ。まあ、あたしも真実この身体になった事を恨んでいる訳ではない。

「ところで、アイオロスはどうした?」

「歩くのが遅過ぎて、置いてきちゃった」

「お前も酷い奴だな、迎えに来てくれた兄に対して」

「それはパパの命令でしょ?本人は面倒臭がってたわよ」

「私は『テテュスが心配だな』とアイオロスに話し掛けただけだぞ?そうしたらあいつが」

「……ひねくれ者め」

 不器用で無愛想だから分かり難過ぎるのだ、あの兄は。

「……ま、いいか。それよりも、家の中に入りましょう。何か甘いものが食べたいわ」

「お前は本当に冷たいな」

「お礼なんて何時でも出来るでしょう、お互い不死身なんだから」

 寧ろ古い神話の如く、暇つぶしに人類を滅ぼしたりするのが仕事なのだ、冗談だけど。

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